設定Tips034 実績資金繰り表の表現
今回はプロフェッショナル版以上の方向けです。
ちょっとばかし簿記の知識も必要です。
弥生会計のプロフェッショナル・ネットワーク版には拡張機能として 「資金繰り表」機能が備わっています。
「資金繰り表」機能では、将来の資金繰りを検討するための「見積り資金繰り表」と、
実際の取引データから現実のお金の動きを集計する「実績資金繰り表」の2つの
集計機能があります。今回は実績資金繰り表についてです。
実績資金繰り表は、取引データの中から現金・預金などの資金科目に対応する科目をそれぞれ集計して「諸経費支出」や「設備投資」などの項目を表示してくれます。
しかし、その取引が複合仕訳の場合、うまく集計されません。
例えば、車を買い換えた場合です。例として、200万円の車を購入するのに、
簿価100万円の車を30万円で下取りに出して、170万円で買ったとします。
この場合、振替伝票で次のような仕訳を切ります(本来は諸費用や消費税の絡みで
もっと複雑になります)
車両運搬具 | 2,000,000 | / | 普通預金 | 1,700,000 |
固定資産売却損 | 700,000 | / | 車両運搬具 | 1,000,000 |
しかし、この伝票を登録した後に実績資金繰り表を集計しても、「その他経常支出」に
170万円が表示されてしまいます。これは、弥生会計が170万円の支出について、
車両運搬具200万と固定資産売却損70万のどれに割り当てたらよいのか判断できない
ためです。
★★★ そこで、このTips! ★★★
第一法〜支出に合うように取引を分割する
振替伝票で普通預金の支払と車両の購入が同額になるように、仕訳を分割します。
具体的には、購入車両200万を170万と30万に分けて登録します。
車両運搬具 | 1,700,000 | / | 普通預金 | 1,700,000 |
車両運搬具 | 300,000 | / | ||
固定資産売却損 | 700,000 | / | 車両運搬具 | 1,000,000 |
これで実績資金繰り表を集計すると、「設備投資」170万円と表示されます。
しかし、支払ったのは170万円ですが、内容としては手持ちの車を30万円で売って、
新しい車を200万円で買ったということです。このままではそれ以上の表現をすることができません。
第二法〜集計用に資金科目を用意する
例えば「資金諸口」というような、ダミーの資金勘定を作成して取引の間に入れ込む
方法があります。資金繰り集計の設定で「資金項目」とする必要があります。
次のように伝票を登録します。
車両運搬具 | 2,000,000 | / | 資金諸口 | 2,000,000 |
資金諸口 | 1,700,000 | / | 普通預金 | 1,700,000 |
資金諸口 | 300,000 | / | 車両運搬具 | 1,000,000 |
資産譲渡損 | 700,000 | / |
これで実績資金繰り表を集計すると、「資産売却収入」30万円、「設備投資」200万円と
表示されます。
なお、複合仕訳に入れ込むダミー勘定ですので、試算表などで残高が残ってしまう
場合は、何か仕訳上の間違いがあります。