設定Tips016 資産を売ったときの入力(売却損)
弥生会計で伝票入力をするときは、あらかじめ用意されている伝票辞書を呼び出して
数字を入れるだけで取引を完成させることができます。
しかし、同じ取引であってもあなたがどのような設定・経理処理をするかで
入力する形が変わってきます。
特に多く質問されるのが、資産を売ったときです。
今回は車両の下取りで帳簿残高より下取りが少なかった場合、つまり売却損が
出るときの入力について説明したいと思います。
簿記になってしまうので、こんな形なんだくらいで見てください。
★★★ そこで、このTips! ★★★
買った方までやると長すぎるので、下取りの部分だけにします。
法人を例にしていますので個人の場合「固定資産売却損」は「事業主貸」にしてください。
消費税で簡易課税の場合、下取りは第四種売上になります。
例題:取得価額(買った時の値段)が100万円で、これまで減価償却を70万円して
帳簿残高30万円となった車両を21万円で下取りしてもらい、現金で受け取った。
・消費税免税・減価償却は直接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 300,000
- 固定資産売却損 90,000 /
いちばん簡単です。受け取った金額と帳簿残高の差額を売却損にします。
・消費税免税・減価償却は間接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 1,000,000
- 減価償却累計額 700,000 /
- 固定資産売却損 90,000 /
減価償却が間接法の場合、帳簿には車両100万円が残っていますので、
残高がゼロになるよう調整します。売却損は変わりません。
・消費税課税(税込経理)・減価償却は直接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 210,000(課税売上)
- 固定資産売却損 90,000 / 車両運搬具 90,000(対象外)
ややこしくなってきました。
車両の残高30万円を、売った金額21万円(課税取引)とその残り(不課税取引)に
分けて入力します。
・消費税課税(税込経理)・減価償却は間接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 210,000(課税売上)
- 減価償却累計額 700,000 / 車両運搬具 790,000(対象外)
- 固定資産売却損 90,000 /
帳簿には車両100万円が残っていますが、これを売った金額21万円(課税取引)と
その残り(不課税取引)に分けて入力します。
・消費税課税(税抜経理)・減価償却は直接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 200,000(課税売上・別記)
- 固定資産売却損 100,000 / 仮受消費税 10,000(課税売上)
- / 車両運搬具 100,000(対象外)
一段とややこしくなります。今回は売却部分を別記入力で表現していますが、もちろん
内税入力でも可能です。気をつけたいのは、車両を内税で入力した場合、21万円を
入力しても帳簿では自動で税抜金額の20万円になるので、振替伝票を見ながら車両の
差額は9万円と思って入力すると、1万円ずれてしまうということです。
税抜経理の場合、売却損は10万円になります。
・消費税課税(税抜経理)・減価償却は間接法
- (借 方) (金 額) (貸 方) (金 額)
- 現 金 210,000 / 車両運搬具 200,000(課税売上・別記)
- 減価償却累計額 700,000 / 仮受消費税 10,000(課税売上)
- 固定資産売却損 100,000 / 車両運搬具 800,000(対象外)
上記と同様で、売却損は10万円になります。
売却損が税込経理は9万円、税抜経理は10万円なので税抜経理が得しているように
思えますが、税込経理の場合は消費税として納めることになる分の1万円が
後で損金になるので、結果10万円で同じになりますよ。